山への祈り
「佐比内 山の神像」
八幡平市を特徴づける生業に山仕事が挙げられます。先人たちは春木、木地挽き、炭焼き、マタギなど、古くから山の恵みに感謝しながら営んできました。市内には、たくさんの山神社が祀られ、山の神が安置されています。
「佐比内 山の神像」は、先人たちが祈りを捧げたもの。実物は八幡平市舘市地区の山神社に祀られており、八幡平市博物館では複製を展示しています。
髪を烏帽子状に逆立て、憤怒の表情を浮かべた明王像。岩座に立ち、手には斧、裸形の上半身に左肩から条帛と腰裳を付けた様子は、仏像から神像への移行過程が見て取れます。総高は104cm。1本の木から掘り出した「一木造」で、材には桂が使われています。
荒ぶる神をかたどった「佐比内 山の神像」からは、山びとたちが抱いた、自然に対する畏敬の念を感じることができます。
撮影:奥山淳志