小田島・大村コレクション

小田島コレクションは、2006年、旧浄法寺町の故・小田島昭夫氏の氏宅から見つかった約4千点の漆器や古文書などです。江戸から昭和までの旧家の様子や浄法寺漆最盛期の状況を伺い知る貴重な資料として二戸市に寄贈されました。

小田島家は「サカヤ」の屋号で知られた豪商で、客人用や農繁期の作業に従事した人たちの賄い用など、多種多様な漆器を数多く揃えていました。江戸時代の1857年につくられた「五段食籠」は食べ物を入れておくための漆器です。その大ぶりな姿からは、活気ある商家の様子が伝わってきます。

木地師が多く住んでいた安比川流域では、碗のようにロクロで丸く削り出す「挽き物」の技術が得意だったため、四角いお重よりも丸いお重が多くつくられていたようです。深さや大きさも色々で、浄法寺塗というと加飾のないシンプルな漆器が多いなか、古い時代のものには菊や松竹梅といった図柄のものもあります。

大村コレクションは、盛岡市の故・大村次信(つぐのぶ)氏が、県内外で50年ほどかけて収集した約3千点の漆器コレクション。浄法寺周辺で作られたと思われる漆器が多数含まれていたこともあり1995年に旧浄法寺町が遺族から受け継ぎ、浄法寺歴史民俗資料館に所蔵されました。

大村コレクションは、その多くが江戸時代後期から明治・大正期に作られたとみられる民芸的要素の強いもので、庶民の暮らしや当時の製作技法などを知る上で貴重な資料となっています。また、会津や輪島、琉球漆器など国内はもとより、中国・明代のものなどもあり、産地間の比較の上でも興味深い資料と言えます。

写真提供:二戸市

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