再生を繰り返す
浄法寺漆林

浄法寺町の明神沢に位置する「浄法寺漆林」。現在も漆掻きが行われる漆林でありながら、観光客も自由に訪問することができるオススメのスポットです。

浄法寺で採れる漆はのびの良さや高い品質でも知られており、日光東照宮の陽明門や二荒山神社、輪王寺など、貴重な文化財の修復にも使われています。文化庁では保存修理での資材の安定的な確保を目指し、2006年より植物性資材を産出している産地を「ふるさと文化財の森」として設定。「浄法寺漆林」は、その第1号として2007年3月27日に登録され、面積は約4ha、約4,000本の漆の木が植えられています。

漆の木は、人の手で育てなければ増やすことが困難です。まずは種子を集めて発芽させ、苗木をつくります。そして、苗畑に育てた苗木を山に植え替え、下草を刈りながら育てること約15年から20年。15㎝ほどの太さに成長したら、ようやく漆が掻ける段階になります。漆掻きは6月から11月上旬までの半年間に行われ、1本の木から採れる漆の量はわずか200gほど。「血の一滴」とも呼ばれ、大切に扱われます。

2015年の文化庁による「日本の国宝及び重要文化財の修復には国産漆を使用する」という通達以来、浄法寺地域での漆掻き職人はおよそ20人から倍の40人に増加。それに伴い、漆の収穫量も徐々に増加傾向にあります。また、2020年12月には「漆搔き技術」が「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」としてユネスコ無形文化遺産に登録され、世界が認める技術となりました。

漆掻きのシーズンには、運が良ければ漆掻きの現場に出会えるかもしれません。オフシーズンでも、漆の木肌や漆掻きの傷、流れ出た樹液の跡から、漆掻きの現場の雰囲気を味わうことができます。

写真提供:二戸市

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